Garmin

ランニングダイナミクスと生理学的測定

ランとフィットネスの進歩に関する主要な要素をモニタリングすることで、自分の現在のパフォーマンスレベルを把握し、さらなる改善のために何をすべきか理解することが可能になります。ガーミンの優れたデバイスは、トレーニング中にさまざまなデータを収集し、ランのメトリックや生理学的測定を提供しますので、現在のデバイスで表示されるステータスの意味をもっと知りたいという方にぴったりです。計測された情報で何ができるか。それはあなた次第です。もちろんいくつかの提案をご用意しています。

生理学的測定

VO2 Max

A watch screen showing VO2 max.VO2 Maxの数値は、自分のフィットネスレベルを確認、理解し、管理するために必要なカギとなります。この数値は、カラダに取り込まれた酸素が筋肉へ運ばれ、効率的な有酸素エネルギー生成に使用される最大量になります。個人レベルでは、健康や運動パフォーマンスに関する様々な指標のための、極めて優れた用途ツールです。

自分のVO2 Maxについて理解するときは、VO2 Maxレベルが低ければフィットネスレベルは低く、高ければパフォーマンスの潜在性が高い、ということを覚えておくと便利です。身体が酸素やさらにはVO2 Max範囲をどの程度効率的に活用できるかには、身体活動に関する多くの要素と同様、遺伝的要素も関わってきます。とはいえ、VO2 Maxの数値はダイナミックで、現在の生活やトレーニングが反映されます。適切なアプローチをとることで、誰でも自分のVO2 Max値を改善することができます。

VO2 Max値を改善することが最も困難なのは一流のアスリートです。なぜなら彼らはすでに最高の健康状態を獲得しているからです。このことはすべての人にとって朗報でしょう。

アクティブな生活は人を幸せにし、長生きするということは数々の研究から実証されています。VO2 Maxは、そのことを科学的側面から調査し検証する際に使用される、主要な測定基準です。もしあなたがさらなる改善を目指すのであれば、あなたを正しい方向へと導くツールを提供できるデバイスを選ぶべきでしょう。

パフォーマンスを重視するユーザーにとって、VO2 Maxはまた別の使い方があります。運動中に身体がより多くの酸素を使うと、より多くのエネルギーが生成され、レースでこれまでより速く走ることが可能になります。

予想タイム

A watch screen showing race predictor.VO2 Maxが確定すると、デバイスは現在のフィットネス状態に基づき、目標のレースタイムを表示することができます。目標のレースタイムは5キロ、10キロ、ハーフマラソン、フルマラソンの距離で表示され、フィットネスレベルが上がれば速くなり、下がれば遅くなります。すべてのレース距離では、特にマラソンのような長距離の場合、有酸素のフィットネスを超えた成功のための、重要かつ必須の要因が多数存在します。したがって、最大限の努力をして目標のレースタイムを達成するには、イベントに向けた適切なトレーニングの実行が重要となります。そして、表示されるレースタイムはあくまで予測ですが、あなたの生理学的データを基に、合理的に期待できるパフォーマンスの優れたアイデアを示してくれます。また、トライし達成するための素晴らしい目標も提示してくれます。

Pコンディション

A graph showing performance condition over the course of a run.

A watch screen showing performance condition.現在のパフォーマンスをリアルタイムで評価するために、パフォーマンスコンディションを見てみましょう。ランニングの最初の6~20分では、ペース、心拍数、心拍変動が分析されます。結果の数値は、ベースラインのVO2 Maxとの差をリアルタイムで評価したもので、各目盛はあなたのVO2 Maxの約1%を示します。数値が高ければより高いパフォーマンスが期待できます。新しいデバイスの場合、フィットネスレベルを測定し始めたばかりであるため、最初の数回のランでは数値が変動しやすくなることにと注意ください。その後は数値が安定し、日々の体力の信頼できるデータが表示されます。

A graph showing performance condition declining as a run continues.

また、ランの前半では、パフォーマンスコンディションをデータフィールドとして追加することができ、ランの展開に合わせてそれを監視することができます。丘や強風に遭遇すると値が若干変動することがありますが、ランの負荷がかかり始めて激しい状態がしばらく続くと、この変動は収まります。これは、体力がどの程度減退しているか、または減退していないかを観察するための客観的な方法で、身体が通常のランと比べて激しく運動しているかどうかを確認できるようになります。つまり、パフォーマンスコンディションは早めの警告の「壁」を提供し、その壁にぶち当たる前に戦略を調整する機会を与えてくれます。

トレーニング効果

A watch screen showing training effect.多くの人は、結果を求めてトレーニングに励みます。体がどのように機能するかで、トレーニングのタイプが、期待される結果のタイプや将来に向けて十分に準備すべきのパフォーマンスのタイプを決定します。

トレーニング効果は、各トレーニングのセッションが今後のフィットネスレベルにどの程度影響を与えるかを、プレビューできるメトリックです。トレーニングから最大限の効果を得るには、適切なリカバリスケジュールを組み込むことがもちろん重要です。

トレーニング効果の最も一般的な使用方法の1つが、現在のフィットネスレベルを維持・改善するために、トレーニングを調整してバランスを保つことです(VO2 Max参照)。

トレーニング効果はトレーニング中に構築され、リアルタイムでアップデートされます。つまり運動中のリソースとして活用し、ニーズに合わせてトレーニングをカスタマイズすることができるようになるのです。より効果を得たいときは運動のレベルを上げたり、目標を超過して理想の結果が得られそうにないときはペースを落としたりすることができます。

有酸素トレーニング効果

有酸素トレーニング:

  • 有酸素のエネルギー生成を向上
  • 脂肪をエネルギーに活用
  • 持久力とスタミナ
  • 長期的なパフォーマンス能力

ガーミンの厳選されたウォッチ製品で利用できるこの機能は、エクササイズの有酸素効果を測定します。この数値は、エクササイズから期待できる改善と相関関係にあります。ハードなランニングを終えたとき、さらに多くの有酸素運動を行い、大きなトレーニング効果を得るかもしれません。この情報はどんな役に立つでしょう? トレーニング効果は、心拍数を使って有酸素運動の累積された強度を測定し、現在のフィットネスレベルを維持すべきかそれとも改善すべきかについて、わかりやすい目安を提示します。

有酸素トレーニング効果は、ガーミンの多くの初期ウォッチ製品で提供されてきたオリジナルのトレーニング効果と同様の機能です。ただしスケールは、有意なトレーニング効果のない短時間または非常に簡単なアクティビティを占めるため(正直に認めましょう)、若干変更されています。つまりスケールの一番下に「0」が追加されました。

技術面では、有酸素トレーニング効果は、運動中に蓄積された運動後過剰酸素消費量(EPOC)であり、あなたのフィットネスレベルとトレーニング習慣を示す、0から5のスケールにマッピングされます。一般的に、体が健康になればなるほど、継続的改善のためにはより大きな「量」の運動が必要になります。60ml-O2/kgのEPOCが生成される運動セッションは、体力が低いときには優れた効果をもたらしますが、きわめて体調が良いときはあまり効果はありません。トレーニング効果は、第2のケースより第1のケースでより高い数値を提示することで、この現実を反映します。

注:有酸素と無酸素の両方のトレーニング効果のスケールは、0―なし、1―マイナー、2―維持、3―改善、4―大幅に改善、5―過剰

無酸素トレーニング効果

無酸素トレーニング:

  • 無酸素のエネルギー生成を開発
  • 短距離能力
  • 疲労抵抗
  • 最大パフォーマンス能力

特定の測定基準に関連付けられていない場合、無酸素トレーニング効果に最も関連付けられやすいパフォーマンスは、短距離を実行し反復する能力です。サッカーゲームの流れは良好な評価基準となります。そこでは、ゲームが高強度の運動の突発的混乱に遮られます。

身体の燃料をエネルギーに変換する最も効率的な方法には酸素が必要ですが、必要とするエネルギーが、今すぐに利用できる酸素の量を超えることもあります。幸い、身体にはバックアップのプロセスがあり、準備を整えて待機しています。効率とは程遠いですが、無酸素エネルギーのプロセスはすぐにアクションを起こし進み続けることができるようになります。欠点は、すぐに枯渇してしまうことです。

有酸素トレーニングは、有酸素フィットネスレベルの向上と上手く結びついていますが(VO2 Maxとして表示)、無酸素運動の向上という点から見ると、事は少し複雑です。

A graph showing analysis of heart rate and speed to derive anaerobic training effect.

心拍数と速度(サイクリングの場合はパワー)の両方を分析することにより、無酸素トレーニング効果は、運動の最中に生成されたEPOCに対する無酸素の寄与を数値化します。無酸素トレーニング効果の数値が高いほど、無酸素の運動能力に期待される利点がより高くなります。例えば、高強度のインターバルはパフォーマンスに関する能力の、いくつかの要素を改善することが示され、無酸素トレーニング効果がこれを数値化します。しかし、この機能はもう一歩先を行っています。実践したトレーニングの種類を分析することで、トレーニングがどの程度効果的であったかをより具体的に伝えます。例えば、高速運動の反復を検知すると、「このアクティビティは高速/パワーの反復により、あなたの無酸素運動能力と速度を改善しました」と表示する、3.5の無酸素トレーニング効果を得ることができます。

乳酸閾値

A graph showing lactate threshold at 90% of an athlete’s maximum heart rate.

乳酸閾値は、疲労が増加したときの特定の運動レベルまたはペースレベルです。経験が豊富なランナーの場合、通常、最大心拍数の約90%のときに発生し、10キロ~ハーフマラソン間のレースペースに相当します。経験の浅いランナーの場合、乳酸閾値は最大心拍数の90%を下回ります。

ガーミンが誇る本デバイスは、ガイド付きのワークアウトを通じて、または通常のランの最中に自動的に、乳酸閾値を検出します。いずれの場合も、さまざまなペース時の心拍数を収集することで、ランの速度と1分あたりの心拍数の両方の観点から、乳酸閾値を予測。最良の結果を出すには、デバイスがあなたのフィットネスレベルを正確に学習できるよう、ウォッチを最初に使用した後に、数回のランを行うのがよいでしょう。そうすることで、その後は初回よりも正確な乳酸閾値が測定できるようになります。

従来、乳酸閾値を活用してトレーニング方法を自分流にアレンジしたいと考えたアスリートは、トレーニング中に蓄積した乳酸値を測るため、血液検査を受ける必要がありました。しかし、この方法では、貴重なトレーニング情報を利用できるアスリートの数が限定されていました。

ガーミンのデバイスで使用されているFirstbeatという乳酸閾値検出方法は、呼吸数(呼吸がどの程度の困難か)は心拍変動の分析により検出可能である、という事実を活用しています。息を吸って吐くプロセスにより、心拍(HRV)の間隔にわずかな変動が生じます。この変動を解読し他のパフォーマンスデータと組み合わせることで、デバイスは心拍数の並行的変化を認識していつ乳酸閾値を越えたかを示すことができるようになります。

これによってどのようなメリットがもたらされるのでしょうか? 乳酸閾値は、あなたの持久力の唯一にして最良の決定要因です。長距離をより速いペースで走れるようになれば、それだけ乳酸閾値も高くなります。さらにこの値は、あなた個人のトレーニングゾーンを認識するための貴重なリソースとなり、パフォーマンスの向上にもつながります。なぜなら、トレーニングが、最大心拍数の恣意的な割合ではなく実際の生理学的状態に基づいたものとなるからです。

自分の乳酸閾値を把握することで、より正確なトレーニングを実行することができます。多くのコーチは、全体的なトレーニングプログラムの中で、乳酸閾値ラインで走るよう指示しています。ガーミンのデバイスと互換性を持つ乳酸閾値機能は、さまざまな血液サンプルを使用した高額なテストを受けなくても、自分の乳酸閾値を判定することができるのです。

リカバリータイム

A watch screen showing recovery time.リカバリーは、トレーニングプロセスの中で不可欠な要素であるにもかかわらず、しばしば見落とされがちです。リカバリー時間は、トレーニングに対する反応および主要なリソースの補充に関する、体の適応性によって規定されます。リカバリー時間が不十分だと、フィットネスやパフォーマンス全体で得たものを失いかねません。リカバリーレベルを記録することで、激しいトレーニングの効果が現れる時期を明らかにし、トレーニングにより期待される結果を確実に得られるようになります。そして、トレーニングプログラムを自信をもってアップデートし最適化する能力を手に入れることができます。

毎回トレーニングが終わると、デバイスは、体力が100%近くまで回復しハードな運動やランニングを行えるまでの残り時間を表示します。Firstbeatが提供する測定は、あなたの生理学的データに関するユニークなデジタルモデルを使って、生成されパーソナライズされます。測定は、運動セッションのトレーニング効果のスコア、セッション中に実行されたパフォーマンスとフィットネスレベルの評価、そしてトレーニング開始時からデバイスに表示される残りのリカバリ時間の組み合わせを活用しています。

リカバリ時間は最大4日

最良の結果を得るには、デバイスがあなたのフィットネスレベルを正確に学習できるよう、ウォッチを使って数回のランを行うのがよいでしょう。そうすることで、その後はより正確なリカバリー時間を測定できるようになります。

トレーニング負荷

A watch screen showing training load.もっと大きな視点で捉えたいですか? ならば、こちらがあなたの進むべき道です。トレーニング負荷は、過去7日間のトレーニングの合計値を表します。さらに、互換性のあるガーミンデバイスにより、今週のトレーニング負荷が、フィットネスレベルを考慮した上で長期のトレーニング負荷と比較され、負荷が最適な範囲かどうかを表示します。トレーニングの量はそれが作成したEPOCで、トレーニング中に収集された心拍数のデータから予測されます。現在のトレーニング負荷は、過去7日間のEPOCの合計値となります。

無理をすればそれなりの結果を得られるかもしれませんが、過剰で激しいトレーニングは逆効果となり、むしろケガの原因となることもあります。ですから自分のトレーニング負荷をしっかりと見極め、過剰ではないか、あるいは少な過ぎではないか、適切な量であるかを確認してください。

利用できるトレーニング負荷は以下の通りです:

高い – 現在のフィットネスレベルや最近のトレーニング習慣に照らしてみると、あなたのトレーニング負荷は高過ぎで有益な効果を生み出せていません。

最適 – フィットネスレベルの維持および向上に理想的な範囲です。このペースで続けてください!

低い – あなたのトレーニング負荷は、現在のフィットネスレベルや最近のトレーニング習慣に照らしてみると低めです。このままでは改善は難しくなります。

トレーニング ステータス

A watch screen showing training status.トレーニングステータスは、ガーミンが提供した最初の機能です。本日のランに加え長期間のトレーニング習慣を分析します。それにより、現在のトレーニング状況をしっかりと把握することができます。他のメトリックでこのプロセスを示す方法が提供されていれば、トレーニングステータスは壁を取り払って景色を一望することができるでしょう。

現在のトレーニングは、健康を改善するに足る十分な強度または長さですか? 長期的に見て改善を望める十分な運動をしているか、または無理し過ぎていないか、どうすれば判断できるのでしょうか? トレーニングステータスは、フィットネスレベルの変化、現在(過去7日間)のトレーニング負荷、および以前のトレーニングと比較した現在のトレーニング負荷の変化を自動的に考慮し、将来のトレーニングに関する判断を行うためのサポートを提供します。つまり、現在のトレーニングの効果を示し、トレーニングに関する判断を改善するための有益なガイダンスを提供します。

Firstbeatが提供する測定は、生理学的データに関するパーソナライズ化モデルの、いくつかの要素を活用します。最新のトレーニング負荷を踏まえたVO2 Maxフィットネスレベルにおける変化は、あなたのトレーニングの有効性を示しています。

私たちの生理機能のダイナミクスや絡み合うようなその特性によって、トレーニングのプロセスが科学というよりも、むしろアートのように見えることがよくあります。表面的には、期待したものが必ずしも得られるわけではなく、得られるものが必ずしも期待したものであるとも限りません。

簡単にいえば、トレーニングを止めるとフィットネスレベルは減少しますが、以前のトレーニング負荷に応じて、通常のトレーニングルーティンの中断がフィットネスレベルの上昇につながることもあるのです。同様に、通常のハードなトレーニングによってフィットネスレベルを改善するものの、頻繁に無理をし過ぎて、過剰トレーニング現象によりフィットネスレベルが減少しはじめることもあります。

なぜこうした現象が起こるのか、その一例として、あなたが何週間もトレーニングを継続していると仮定しましょう。フィットネスレベルは普通なのに、日々のわずかなアップダウンが増えています。この傾向は自動的に特定され、現在のトレーニングは「生産的」と識別されます。同様に、現在のトレーニングは非常にハードであるにもかかわらずフィットネスレベルが減少パターンを示すこともあります。その場合、トレーニングは「過剰」と識別され、リカバリー時間の追加が推奨されます。

認識されるトレーニングステータスは以下の通りです。

ピーキング – 理想的なレースコンディションです! 最近トレーニング負荷を減らしたことで身体が回復し以前のトレーニング分が完全に補われています。ピーク状態は短い間しか維持できないので、先を読むようにしましょう。

プロダクティブ – このままの状態を維持してください! トレーニング負荷があなたのフィットネスを正しい方向へ導いています。トレーニングにリカバリー時間を組み込んでフィットネスレベルを維持するよう心がけてください。

メインテイニング – 現在のトレーニング負荷はフィットネスレベルを維持するために十分です。改善を図るには、さまざまな運動を追加するか、トレーニング量を増やしてみてください。

リカバリ – ―軽度なトレーニング負荷が身体の回復を促しています。これは、長期間のハードトレーニングにとって不可欠です。準備ができたらより高いトレーニング負荷に戻ることができます。

アンプロダクティブ – 現在のトレーニング負荷レベルは良好ですが、フィットネスレベルは減少しています。あなたの体は回復したがっているのです。ストレス、栄養、休息を含め健康全体に気を配ってください。

ディトレーニング – あなたは1週間かそれ以上、通常よりはるかに負荷の少ないトレーニングを行っています。そのことが健康に影響を及ぼしています。改善を図る場合はトレーニング負荷を上げてみてください。

オーバーリーチング – あなたのトレーニング負荷は非常に高く、逆効果です。身体が休息を必要としています。スケジュールに軽めのトレーニングを追加して、身体に回復の時間を与えてください。

ステータスなし – トレーニングステータスを判定するには、ランニングやサイクリングで測定されたVO2 Maxデータを含む、1~2週間のトレーニング履歴が必要です。

HRVストレステスト(旧製品のストレススコア)

激しいランに向けた体調が整っているか、それとも軽めの運動を必要としているか、判断に迷うときは、ストレススコアをチェックする良いタイミングです。心身ともに休息を取り体調が万全なときは、難易度の高い運動からより効果的なトレーニングを吸収できるでしょう。一方で、疲れていたり過剰トレーニングに陥ったりしているときは、同じような難易度の高い運動がかえって逆効果になることもあります。ストレススコアは3分間のテストで計測され、その間に心拍変動(HRV)が分析されます。結果のストレススコアは0~100までの数値で表示され、数値が低ければストレスが低いことを示します。ストレススコアは、どんな活動レベルであれば身体が対応可能であるかを、判断する目安となります。毎日、同じ時間に同じ条件下でテストを行うと、より正確な結果を得ることができます(運動後ではなく、運動前の測定をお勧めします)。それにより、日毎や週毎の変化に対する感覚を身に着けることもできます。

HRVストレステストを測るときは、立って行います。そうすることで、低レベルおよび中レベルのストレスを検知することができます。横になって測定すると、中庸レベルのストレスが測定できないことがあり、立って測定すると心血管にやや負担がかかります。この負担は、ストレスレベルが非常に低い場合と比べ中庸のときに、HRVを有意に低下させる原因となります。

心拍変動 (HRV)

A graph showing a heart rate variability stress test.

あなたの心臓は、メトロノームのように完璧なリズムを刻んでいるわけではありません。心拍数の変化は、健康な状態であり普通のことです。ガーミンやFirstbeatが健康状態に関するより詳細な情報を提供するために、どのように心拍変動を活用しているかを理解するためには、まず、なぜ心拍変動が存在するのか、という話から始めるべきでしょう。

あなたの心臓をコントロールしているのは、神経系の不随意の一部である自律神経系(ANS)です。さらに、交感神経と副交感神経と呼ばれるANSの2つの分枝があります。ANSの交感神経は、何らかのストレスにさらされると活性化します。ANSの中で、すべてのシステムを警戒態勢にする部分です。対照的に、副交感神経はもっとリラックスした系統であり、急にマウンテンライオンに襲われたりすることもない、くつろいだ状態で、鼻歌を歌っています。交感神経がさらに活性化すると心拍数が上昇し、通常のリズムを刻み、HRVは減少します。

他方、副交感神経が活性化すると心拍数は減少します。身体のニーズを満たすため運動が始まるとリズムが刻まれます。しかし、交感神経が変化するときほど厳密なスケジュールに従ってはいません。つまりHRVは上昇します。その特性のために、HRVは2つの神経系分枝間のバランスに関する優れた指標となり、それゆえにストレスの間接的測定値となります。HRVが高い場合、ストレスが低いことを示します。

HRVの特徴づけに使用される統計方法にはさまざまな種類がありますが、HRVストレステスト(旧ストレススコア)は、ストレスを0~100のスコアで表示することによりその判断を容易にし、身体の状態、およびトレーニングストレスや生活ストレスに身体がどう対応しているかを判定する、新しいツールとなるように設計されています。

HRVは運動を開始すると減少し、運動が激しくなれば減少も継続しますが、速いスピードでランニングを行っているときでも有益な情報をもたらします。ガーミンのいくつかの製品で利用できる乳酸閾値機能は、乳酸閾値心拍数に密接に関連している、HRVが上昇するポイントを見極めるFirstbeatの機能を活用しています。

EPOC

運動後過剰酸素消費量は、運動後の一定時間、身体が酸素の使用を休息時よりも高い割合で継続して使用する状態を指します。これはある意味当然です。運動をすると、身体の通常の状態が妨げられ、妨げられた状態を通常の状態に戻すため、身体はさらなる運動が必要になります。実際、トレーニングにおいては、運動の後に、身体は通常かそれ以上の状態まで戻ろうとします。これまでよりもさらに健康的でさらにスピードを速くすることを可能にするのが、この「通常かそれ以上の状態」(超回復、ともいいます)なのです。

身体が使用する酸素量は、身体が使用するエネルギーの量に直接関係します。従って、EPOC測定は、通常状態(ホメオスタシス)の身体が運動のセッションでどの程度妨害させられたかを数値化する際に、最適です。EPOCは、身体が通常状態かそれ以上に戻るためにどの程度の作業を必要とするかを数値化できることから、運動量を測る優れた方法なのです。

A graph showing excess post-exercise consumption derived from heart rate data during exercise.

EPOCを直接測定するには、研究所用の高額な機器と長い時間が必要です。Firstbeatは、運動中の心拍数データからEPOCを予測する、特許取得済みの方法を開発。このEPOC測定値は、トレーニング効果、週のトレーニング負荷、トレーニングステータスを判定するための、重要な要素です。

ランニングダイナミクス

接地時間

接地時間とは、ランニング中に足が地面についている時間の合計量のことです。接地時間は通常とても短く、ミリ秒(ms)で測定されます。一流ランナーになるとさらに短く、多くは200ms未満です。経験豊富なランナーになると、ほぼすべての人が300ms以下です。これは、足をすばやく「持ち上げ」て接地時にオーバーストライドしないようにすることを学んでいるためです。オーバーストライドは、足が上体よりもはるか前に着地するランニングスタイルで、走りにブレーキをかけ、通常、長時間の足の接地につながります。

GCTバランス

A watch screen showing ground contact time balance.GCTバランスは、左右の足の接地時間(GCT)のバランスを観察することで、走行中の対称性を測定します。ガーミンウオッチでは、通常、50%以上のパーセンテージで表示されます。左向きまたは右向きの矢印は、どちら側の足の接地時間が長いかを示しています。多くの人にとっては、左右がより対称的なフォームが望ましいとされます。ガーミンウォッチとGarmin Connect™のカラーゲージは、他のランナーと比べてあなたの左右のバランスがどの程度であるかを示します。多くのランナーは、坂道を上り下りするとき、高速で走るとき、あるいは疲れているときに、GCTバランスが50/50より高くなる傾向にあると報告しています。ついでながら、バランスの悪さがケガにつながると認識しているランナーもいるようです。

ピッチ

簡単にいえば、1分あたりの両脚の合計歩数です。一般的に測定されているランニングのメトリックで、フォームに関する多くの情報を提供します。例えば、所定のペースでピッチが速くストライドが短いと、身体の多くの場所(足首、膝、尻など)にかかる負荷は小さくなります。専門家の間では、これらの負荷を減らすことがケガのリスクを減らすことにもつながると考えられています。ランニングピッチをある程度高められることは明らかですが、ケガをしやすいランナーは特に、ピッチを高めるよう努めることが有益である可能性があります。よく引き合いに出されるランニングピッチの目標は、1分あたり180ステップです。背の高いランナーはピッチが若干遅くなる傾向があります。面白いことに、高いピッチは、上下動の低さや接地時間の短さとも関係しています。

ストライド幅

ランニングフォームの測定に関する別の要素が、左右のステップで進んだ距離の長さ、ストライド幅です。これはランニングを終えたとき、あるいはランニング中にアクティビティ内のデータフィールドでも確認できます。ランニングの終了後、Garmin Connect™なら、ペース、ピッチ、標高、その他のメトリクスと共にストライド幅がどのように変化しているのか、より詳細に確認することができます。ストライド幅は、体の形態、筋肉の強度、柔軟性などさまざまな要因に依存しています。

上下動

上下動は、ランニング中の各ステップの「弾み」の量を測定したものです。胴で測定され、単位はセンチメートルです。1回のステップで上下にどの程度動いたかを表します。多くのランニングコーチは、上下動が少ないと浪費されるエネルギーが減るため、経済的であると考えています。ガーミンは、さまざまなレベルの多くのランナーについて研究を行ってきました。一般的に、経験豊富なランナーは上下動比が低い傾向があり、一方、経験の浅いランナーは、上下動に多くのエネルギーを費やす傾向があります。上下動比(以下参照)はこのことを考慮しています。上下動が少ないことのもう一つの利点として、通常、下半身へのストレスが軽減されるという点が挙げられます。

上下動比

A watch screen showing vertical ratio.上下動比は、各ストライドで体がどの程度前進しているかを測定し、それに基づいてランニングの効率性を示しています。上下動比は、各ストライドの「弾み」の量をストライド幅で割り、パーセンテージで表示します。ストライド幅はランニング中の水平移動であるため動きに関する利点があります。上下動は、ランニングのエネルギーコストの1つです。上下動比が低いと、少ないコストで大きなメリットが得られます。つまり効率的なランニングであるということです。